「ゲージ」(gauge)を辞書で引くと,計測器,ゲージ,はかり,計器,計量器と出ています.
( 圧力計は pressureを省いて 単にゲージでも通じます.速度計や電圧計はメーターが一般的です.)
ゲージは,測定の基準,規格,標準寸法,尺度,判断基準というような概念です,軌間,内径,口径の意味で 使われます.
鉄道(実物)でゲージと言えば一般的に「軌間」を意味します.「車両限界」「建築定規」という規格が定められて これも「ゲージ」です.
模型の世界では“ゲージ”は,「規格」と「軌間」のふたつの意味で使われます.
サイズ(縮尺)と線路の巾(ゲージ)の関係などの規格を定めた名称として“ゲージ”を使います.
また,単に線路の内側の寸法という意味でも使われます.
このため,「規格」と「軌間」のどちらかはっきりしないこともあるので困ります.
当ホームページでも,定義を省いてゲージと記述しているので,多少の混乱が生まれているようです.
鉄道模型をサイズ(size)で分類すると,
1/24(1/22.5),1/32,1/48(1/43,1/45),1/64が大きなスケールの代表的なものです.
中間の大きさでは,1/87(1/80)があり,それより小さい1/120,1/160(1/150)もあります.
ライブスティームではもっと大きなスケール(scale),1/8.4とか1/12なども使われます.
新幹線と在来線,ビッグボーイとC62,軌間の違い,多少の矛盾を超えて 一緒に走らせるのは楽しいものです.
でも,井笠鉄道などの“軽便”は 別に小さい線路を敷こう,そういう考えで 模型でもナローゲージが始まりました.
HOn3ゲージ,HOn21/2ゲージ,HOn21/2ゲージなどです.
また,標準軌間に対比して 在来線の狭軌感を大事にしたい.ゲージの違いを模型でも表現したい.縮尺を厳密に採って
線路の巾を変えて 別々に運転をしたほうが楽しい,と思う人たちも出てきました.
次々に新しいゲージが誕生.OJゲージ,Sゲージ,13mmゲージ,12mmゲージ,TT9ゲージなどの動きです.
1/80で図面を引いて 13.5mm軌間で作った人があったから13mmゲージが誕生したと聞きます.後に13mmに発展しました.
イギリスの鉄道の創生期のゲージ(軌間)の変遷していますがある時期に統一されて4’81/2”が主流になります.
欧米の鉄道,新幹線などで使われている4’81/2”(1435mm)が標準軌間(Standard Gauge)になりました.
標準軌間より広い軌間は広軌(Broad Gauge)と呼ばれ,より狭い軌間は狭軌(Narrow Gauge)と呼ばれます.
標準軌間は,ヨーロッパの国々,北米,中国,朝鮮など,世界中で最も多く採用されています.
国内では,新幹線,京浜急行,阪急,阪神,京阪なども標準軌間です.
広軌(Broad Gauge)を採用している例は少なくて,5’6”軌間を採用しているスペインやソ連,インドの一部などです.
一方,狭軌は2’(610mm),2’6”(762mm),3’(914mm),3’6”(1067mm)等など多様な軌間が存在します.
日本、南ア連邦,ニュージーランドなどの官営鉄道ではでは3’6”(1067mm)を採用しています.
日本では 官設,私鉄ともある時期まで 3’6”を採用したので,狭軌の3’6”が標準と考えられていました,
明治期には 4’81/2”が「広軌」と呼ばれました.新幹線開通後も4’81/2”標準軌なのに「広軌」と呼ぶ場合があります.
これでは国際的に通用しないので,鉄道模型の世界では使いません.
三岐鉄道北勢線などは2’6”ゲージです.過去には日本に多くの軽便鉄道が存在しそのほとんどが2’6”ゲージでした.
統一された模型の世界を作るためには,実物の何分の一に縮尺をするかを決めなければなりません.
標準軌間に限れば1/32では45mm,1/48では32mm,1/87では16.5mm,1/160では9mmです.
スケールを決めればゲージ(軌間)が決まるのは標準軌に限ったことで,軌間が同じでも同じゲージとは限りません.
1/43(イギリス),1/48(アメリカ),1/45サイズ前後の模型をOゲージと呼び,標準軌間の場合は32mm軌間です.
模型の世界でもOゲージの規格は定まっているようです.新幹線をOゲージで作る時は32mm軌間が適します.
国鉄の在来線の場合は軌間はどうするか,1067mmを1/45にして軌間を24mmと定め,OJゲージとして一般化しました.
世界標準からみるとNarrow Gaugeに属します.厳密には日本の規格は新旧2種類が定まっています.
私たちの日常感覚からすると在来線がNarrowではちょっと感覚に合いませんが,在来線は分類上は狭軌鉄道です.
三岐鉄道北勢線は軌間762mmなので1/45にすると 軌間16.5mmのOゲージのナローになります.On21/2ゲージです.
アメリカのメイン州の軽便鉄道は軌間 2’(610mm)なので 軌間13mm(12.7mmかも)にして,On2ゲージです.
1/48,1/43の縮尺のことを“Oゲージ”スケールといいます.Oゲージが意味するところは 1/48,1/43です.
Oゲージ(オーゲージ)の軌間は,標準軌間の32mmと,ナローゲージの19mm,16.5mm,12.7mmがあります.
このように,縮尺(スケール)を基準に,「ゲージ」は「規格」の意味で使われ,同じOゲージでも線路の巾はいろいろになります.
日本型で普及しているのは,主に24mm軌間のOJゲージ,16.5mm軌間のOn21/2ゲージです.
Sゲージは1/64を意味する言葉です.
在来線3’6”を1/64で正確にスケールダウンしたSn31/2ゲージがあり,天賞堂の「Sスケール」がこれに該たります.
アメリカでも 雑誌などを見ると スタンダードな22.5mm軌間よりも 3'ナローのSn3の方がむしろ普及しているような感じです.
日本でも 22.5mm軌間は戦後一時期部品が供給されたりしたことがあったかのようですが,はっきりしません.
同じ16.5mm軌間のレールを使っても,OゲージスケールとSゲージスケールとHOゲージスケールがあります.
HOゲージといえば,縮尺が1/87になっていることを意味し,忽ち16.5mm軌間ということではありません.
HOゲージのスタンダードゲージは16.5mmですが,その他に10.5mm軌間のHOn3,9mm軌間のHOn21/2などがあります.
一部の人たちは,Zゲージの線路を利用して,6.5mm軌間のHOn2ゲージで鉱山用機関車を作っています.
これからも ナローの世界では 新しいゲージを始める人が出でてくるでしょう.
ゲージ・サイズ・スケール全般については,説明不十分です.またいつか 続きを書く予定です.(2006/04/18)