接着剤について
接着剤の使い方について 私が試した限り 思いつくまま 書いてみます.
化学薬品ですから 各接着剤の取扱説明書に従って 安全に 使用してください.
有毒ガスが発生する場合もあり,接着剤の取り扱いは ある程度の専門知識が必要です.
エポキシ系 2液型 接着剤
主材と硬化剤を等量(半々)混ぜ合わせると硬化が始まります.初期強度に達するまでの時間が各種あります.
15分間型,2時間型,6時間型など,実用強度に達する時間と被接着材,使い易さ等で選ぶことができます.
粘さが強い2液ですが手早く混合することが大事です.できるだけ速く作業を終えて固定して養生に入ります.
金属は2時間型をよく使います.プラスチックは硬質塩ビなどにも有効です.プラスチックの一部に使えます.
冬季は反応が速いタイプも使用可能です.夏季に反応が速いタイプを使うと,位置決めの時間もなくなります.
油分はしっかり洗ってください.すべての接着剤は少しでも油分が残っていると接着力がガタ落ちになります.
金属同士の接着にはセメダイン「メタルロック」がモデラーにも定評があります.色は黒か乳白色があります.
特殊シリコン変性ポリマー系 2液型 接着剤
被接着材を選ばないので使い易い接着剤です.ここ20年間ぐらいで普及しまし,粘さがしつこい1液型です.
硬化が始まる時間で選ぶことができます.但し実用強度に達するのはどのタイプも常温で24時間を要します.
金属,プラスチック、異種の材料に対して有効です.セメダインEP001(N)を私は常用しています.
特殊シリコン変性ポリマー系 1液型 接着剤
被接着材の物性がわからない場合は変性ポリマー系接着剤が念頭に浮かび近くの工具屋に走ることになります.
空気中に含まれる水分に反応して固化しますから空気に触れた途端に固まる点は扱い難い場合が考えられます.
嵌め込み,ねじ止め,他の方法を考えます.粘性が強いので扱い難いけれども近頃は進歩が著しい接着剤です.
製造から年を経た品の購入は避けましょう.容器から出た途端固まり始めるので取説に従った作業が必要です.
以前は難接着材として軟質塩ビ,ポリカーボネイト,PE,PP,PETなどが掲げられていました.近年は,
これらの難接着材も接着できる品がDIY店で買える時代になっています.
難接着材の代表 ナイロン66,ギター弦(砂撒管などに利用)まで接着可能なものも入手できる時代です.
コニシ ウルトラ多用途「SUプレミアムソフト」クリアー,スコッチ3M「スーパー多用途2],セメダイン
「スーパーX」ハイパー,呉工業「Clear Gorilla Glue」などの商品群です.
テフロン以外(フッ素系樹脂以外の難接着材),ほとんど何でも接着できる時代になりました.
嫌気性接着剤
ねじの緩み止に開発されたとか.車輪と車軸を半永久的に固定するのに最善なのですが外す手段がありません.
衝撃にも強く耐熱性にも優れます.少量の接着剤を塗って,嵌め込むと空気を遮断するので抜けなくなります.
金属に使われます.用途,強度によって何種類か売られていますが,私の場合中庸強度を選ぶことが多いです.
以前「ロックタイト」といえば 嫌気性接着剤でしたが,現在は同じ名前で 瞬間系もありますから要注意です.
紫外線硬化型接着剤
商品名「Bondic Liquid Plastic Welder」は液体プラスチック溶接機のような接着剤です.
歯科治療,製本、レンズ張り合わせには以前から使われていて強度,靭性,耐久性も優れているとのことです.
窓セルの接着に使うため道具の用意まで進みましたが実地に試していないのでここでは触れないことにします.
ビニルソルージョン系 接着剤
事務用の他,古くから広く使われている糊です.鉄道模型ではペーパー車体,紙同士の貼り合わせに使います.
貼り合わせの時,位置決めの微調整が可能なので便利です.雑誌など,平たい錘にして載せて一晩で乾きます.
ビニルエマルジョン系 接着剤(木工ボンド)
「木工ボンド」と呼ばれる接着剤.木製品の製造に多く使われています.模型では紙と木の接合に使います.
水分を吸って膨張するので,閉じた空間に使うときは要注意と鉄道模型趣味誌(TMS)に載っていました.
合成ゴム系 接着剤
昔から普及している接着剤です.手に入り易い接着剤ですが,耐久性は低く,約5年くらいといわれてます.
薄茶色の粘い接着剤です.透明なものもあります.
αシアノアクリレート系 瞬間接着剤
低粘度が特徴で即硬化を謳っているけれど,実用強度に達するまでに要する時間は約24時間といわれます.
衝撃に弱い傾向があり耐熱性も期待できない.僅かでも隙間があるところに浸透する粘度の低さが特徴です.
水分との重合ですぐに動かなくなる点は便利です.「白化」するので塗装後の車体には使ってはいけません.
αシアノアクリレート系 瞬間接着剤 PPX
上記と同じ瞬間接着剤です.被着材の表面にプライマー(PPX)処理してから接着する方式の接着剤です.
「セメダインPPX」という名で販売されています.難接着材の代表フッ素系も接着可能と書いてあります.
金属用パテ/プラスチック用パテ
接着剤に鉱物の微粒子が混ぜてある充填剤です.エポキシ系が相手を選ばばないので安心でしょう.
固まると金属のようになる硬いものから少し柔らかいものまで,硬度はいろいろ市販されています.
粘着剤/粘着テープ
粘着剤,粘着テープの一部は手軽に使える(広義の)接着剤です.ナイロンなどの難接着材に対しても有効.
厚みが薄い両面テープは,塗装を終えた車両の工作に便利ですから,ぜひ検討してください.
シリコーン系樹脂,フッ素系樹脂,ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)に対しては無効です.
プライマー処理や特殊な粘着剤を使用すると接着できる場合がありますが,私では説明できない分野です.
アクリル酸エステル共重合樹脂 粘着剤
塗装後の車体にナンバープレートを付けるのに便利な粘着剤です.窓セル(塩ビ板)の貼り付けに有用.
難しい接着と粘着の原理は別として,ある程度の耐久性があって便利に使えるので可能性は広がります.
以前セメダイン「エクセルタック」として以前は文房具屋で売られていましたが,最近は見かけません.
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プラモデル用の接着剤
接着剤と言うより溶剤(二塩化メチレン)に分類すべきでプラスチックス(ポリスチロール)には有効です.
プラモデル用接着剤は使えません.ポリアセタール,ABS樹脂,ナイロン系も鉄道模型に使われています.
隙間が空く場合にはパテで接着する方が簡単で得策です.その場合堅くないエポキシ系パテがよいでしょう.
被接着材によっていろいろな接着剤が市販されて,どれを選んだらいいのかあれこれ迷う方も多いはずです.
被接着材がプラスチックスの場合は,その種類,性質がわからないことが多いのでハタと困ってしまいます.
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタラートは難接着材の代表で接着剤の選択子が少なく,
ナイロン系樹脂,フッ素系樹脂(テフロン)に対しては接着剤は限られるし,慎重な作業を求められます.
接着剤の選択に迷ったらこちらの記事をお読みください.
接着剤の基本 1~7 セメダイン
特にフッ素系樹脂,ナイロン系の被接着材に対してはねじ止めと併用するなど接着を避けたほうが賢明です.
敵を知り己を知れば百戦危うからずとか.端切れで実地に試し,経過観察をして破壊試験をするのが,簡単
確実でしょう.人類の歴史は,失敗を重ねることで進歩してきました.失敗を恐れてはなにも始まりません.
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